2016年12月31日土曜日

個人的2016マンガベスト10

さっそく2016年の個人的マンガランキング・ベスト10を発表します。
レギュレーション的なものは前記事をご参照ください。
2016年1月1日~12月31日の期間に、単行本が発売された作品が対象です。


10位:『喝 風太郎!!』5巻 本宮ひろ志
喝 風太郎!! 5 (ヤングジャンプコミックス)
マンガとしてのピークは1巻。坊主が板切れ一枚で隕石を回避させ、地球滅亡の危機を救うスゴさにやられてしまったが、その後は作者もどう物語を展開するのがいいか迷っている様子がアリアリと見えて、「あ、(作者が)飽きたな」と「いつもの本宮節」と思っていたら、前巻までに歴代の本宮マンガの主人公が続々と出てくる「スーパー本宮ひろ志大戦」に。
この5巻では明らかに作者自身が練りきれていない「光の組織と闇の組織」が出てきて、どう収拾をつけるのかと思って見守っていたら、神様が出てきた。そして火山の噴火を説得で止め、渋谷のスクランブル交差点から空を歩いていく。まるで生前の三沢光晴が川田利明を相手に放ったタイガー・スープレックスのような、豪快な投げっぱなしである。本宮ひろ志がここまでファンタジー色の強い内容に寄るのは……まあ、『天地を喰らう』とか『夢幻の如く』とかほかにもあるけれど、現代をテーマにした作品では珍しい。

9位:『コオリオニ』上下巻 梶本レイカ
コオリオニ(上) (BABYコミックス)
90年代の北海道警の違法捜査が題材。今年6月には同じ事件を題材にした映画『日本で一番悪い奴ら』も公開された。
『コオリオニ』は潜入捜査の刑事とヤクザのBLものになっている。BLに関しては自分はアンテナが立ってないので、「ジャンル物として担うべき役割」での達成度がどの程度なのか、判断しかねる。そのため単純に「物語る力」の才能だけでの評価。BLを見る目があれば、もっと上の順位にしたかもしれない。そのため自分がちゃんとこの作家の作品を評価できるのは、「ゴーゴーバンチ」(新潮社)で連載を開始した『悪魔を憐れむ歌』から、ということになる。

8位:『傘寿まり子』1巻 おざわゆき
傘寿まり子(1) (BE・LOVEコミックス)
マンガのすごさとは、一言で言えば「多様性」に尽きると思う。世界を救う冒険活劇があれば、ファミレスでダベるだけのコメディがあったっていい。いろいろな職業や業界が舞台になることもあれば、未来や過去を題材にしたっていい。やはり「なんでもOK」こそがマンガの最大の魅力だと思う。
そこへいくと『傘寿まり子』は、主人公・まり子は80歳の女性作家で曾孫持ちだ。第1話では、まり子の友人が家族と同居していながら孤独死してしまう。「そんな1話があるか!」とツッコみたくなるくらいセンセーショナルな冒頭だ。そしてまり子は家を出て、ネカフェを体験し……。これを女性誌の『BE・LOVE』でやるのだからすごい。
これ、主人公が10代とか20代だったら、ゼロ年代初頭に大流行した紋切り型の「自分探し」に堕するのに、主人公が傘寿の高齢者だから、まったく別の位相が生まれる。こういう内容をノンフィクションではなく、フィクションとして描くことに意義がある。

7位:『アダムとイブ』1巻 原作:山本英夫、作画:池上遼一
アダムとイブ 1 (ビッグコミックス)
透明人間と「匂い」で対峙するところに面白みがある。透明人間と匂い。紙面には載らないものを、どう表現するか。ネーム力と画力が試されるような意欲作。池上遼一の画力があればこそ、の作品である。
しかし池上遼一の画力は、ポートレート的な一枚絵としての美しさであり、マンガ的な動きを表現する動的な重心移動の絵ではない。それゆえ絵がリアルなのに、どこかシュールで、ギャグっぽくなることもあり、それをパロディ的に応用したギャグマンガが『魁!!クロマティ高校』(野中英次)だった。本作は作者の当人がそれについて自覚的であるフシが随所に散見するところも面白い。

6位:『昭和元禄落語心中』10巻 雲田はるこ
昭和元禄落語心中(10)特装版<完> (プレミアムKC BE LOVE)
落語家が落語を演じるシーンを描く、ということに深く感動した。落語を題材にした従来のマンガ作品は、高座のシーンになると、登場人物が江戸時代の町人姿にコスプレした「再現ドラマ」を展開することが多かったが、本作は高座の上での落語家の所作を丁寧に描く。その演出方法から、師匠と弟子の関係性を読み取ることができるし、また「受け継がれる物語」というテーマ性が織り込まれている。このように技法とテーマを同期させているので、物語が多層的になり、各コマがより味わい深いものになっている。

5位:『レイリ』1巻 原作:岩明均、作画:室井大資
レイリ 1 (少年チャンピオン・コミックス エクストラ)
舞台は戦国時代。家族を武士に殺された少女が、復讐を誓い、剣の腕を磨く。死にたがりの少女のほの暗い情緒的な描写の1巻、環境が変わって一気に視界が開けていくさまが手に取るようにわかる2巻。1、2巻同時発売は正解。
ふとした所作や表情から感情の推移が読み取れる、その演出力は卓越している。言葉で説明する以上のものを絵と演出で表現している

4位:『なぎさにて』2巻 新井秀樹
なぎさにて 2 (ビッグコミックス)
新井秀樹の描く終末世界。ネビル・シュートの小説(および映画)『渚にて』は、核戦争後で北半球が滅亡した後の世界が舞台となる。オーストラリアでは平穏な日常を過ごしていたが、放射能の汚染は徐々に南半球に迫ってきて、滅亡までの猶予をどのように過ごすのか、人々は選択を迫られることに。
本作『なぎさにて』では、2011年に南アフリカのケープタウンをはじめとして世界各地に不思議な巨木が生え始める。木の種がはじけると、その下の生物は絶滅してしまうので、人類は否が応にも終末を意識しながら生きることになる。家族や社会のあいだに温存されていた欺瞞が表出していくさまに、新井秀樹作品らしさを感じる。3.11直後の感情を、まざまざと思い起こさせる

3位:『弟の夫』3巻 田亀源五郎
弟の夫 : 3 (アクションコミックス)
昨年はLGBTに関して世界的に容認していく動きが広まっていた(アメリカで同性婚は合憲と判断、日本でも渋谷区や世田谷区で同性パートナーシップ認定など)が、今年はその反動か、アンチ・ポリコレが大きな動きに。いまあらためてLGBTの問題を見直すべきタイミングだが、政治的イシューとして“勉強”するのは、非当事者にとってはなかなか大変なこと。
本作はフィクションとして、説明臭いところがなく、物語を楽しみながらLGBTに関する問題をステップバイステップで考えていける秀作。1、2巻が「入門編」とすれば、いよいよ3巻は「中級編」といった感じ。圧倒的にネームが少なく、絵と演出だけで見せるのに、なぜこれだけ感情を動かされるのか。この手練れ感はすごい。ほのぼのとした語り口の下に、「世界を変えよう」という情熱がある。

2位:『戦国自衛隊』3巻 原作:半村良、作画:森秀樹
戦国自衛隊 3 (SPコミックス)
かつて千葉真一がやたら脱いでいた角川映画版『戦国自衛隊』は原作小説に忠実なストーリーで、川中島の戦い直前あたりの長尾家に自衛隊がタイムスリップする物語だった。やがて武田家を制して上洛した伊庭三尉は、その世界に信長が存在せず、かわりに自分たちが本能寺で討たれて「歴史通り」になるエンディングを迎えるのだが、本作は「自衛隊が戦国時代にタイムスリップ」という基本設定以外はすべてオリジナル。
まず『七人の侍』風に農村を救うために行動するのだが、そこで恐竜のラプトルが登場。この3巻では、1巻以来、行方知れずになっていた恐竜ラプトルが、武士道に目覚めていく
歴史劇画の保守本流・森秀樹にとっては、400年前の戦国時代も、800万年前の恐竜も同じ歴史モノという括りなのかと驚愕。自衛隊の不戦の思想を、信長が墨家思想と絡めた解釈をしたり、『敦盛』を妙に改変したり、見どころはたくさん。あらためてマンガは自由だと思わされた。

1位:『キン肉マン』57巻 ゆでたまご
キン肉マン 57 (ジャンプコミックス)
現在「週刊プレイボーイ web comic」で連載中の新シリーズの『キン肉マン』が1位。
従来の『キン肉マン』では、正義超人、悪魔超人、完璧超人という三属性は、現実のプロレス世界における「団体対抗戦」を成り立たせるためのギミックとして機能していた。そのため、バッファローマンやネプチューンマンがヒール(悪役)から“ベビーターン”するのもあり得た。
しかし、完璧超人始祖のザ・マン(超人閻魔)が完璧超人の領袖、ゴールドマン(悪魔将軍)が悪魔超人の祖、シルバーマンが正義超人とキン肉族の祖であることが判明し、三属性とは単なるカテゴライズではなく、イデオロギーであることが明確になった。
これにより、“ベビーターン”や“ヒールターン”は気軽には済まなくなり、いままで信じていたイデオロギーを変えることを意味するようになった。それは強要できるものではなく、受容しようにも多大な苦痛が伴うので、当然のように激しい抵抗が生じる。試合を通じて「棄教」と「改宗」のステップを経なければ、“ベビーターン”や“ヒールターン”が成り立たないリアリティレベルに突入してしまったのである。であればこそ、本シリーズにおける試合は、これまで以上に激しくなっているのだ。
『キン肉マン』は、ファーストシーズンの直後の続編世界を描いていながら、いまや完全に「少年マンガ」の延長線上にはいない。
多くの続編マンガが、かつてのファンに対する「オヤジ接待」に留まっているのに対し(もちろんそれはそれで面白いし需要もあるのだが)、この『キン肉マン』完璧・無量大数編以降は、その「オヤジ接待」的な要素を前半部で満たしておきながら、マンガ本編自体をネクスト・ステージに押し上げている点が特筆に値する。もちろん、中井先生のグレードアップしまくった画力があればこそ、このリアリティレベルを支えているのは間違いない。

2016年を振り返って

年末なので、今年読んだマンガのベスト10なんぞをやってみようかな、と。
「このマンガがすごい!WEB」では毎月のランキングに参加しているし、本誌『このマンガがすごい! 2017』でもオトコ編でベスト5(+オンナ編から1作品)を選んでいるのですが、どちらも「できるだけ1巻や巻数の少ない作品を重視する」という縛りをもうけています。
「マンガは初速の売り上げで連載継続やコミックス発行の可否が判断される」のは、是々非々としてではなく、厳然たる事実としてあるので、作者や読者の望む形でラストまで続いてもらうためにも、メディアでマンガを勧める場合には、前述のルールを自分に課しているワケです。
そのため新人やキャリアの浅い作家を優先する傾向もあります。

では、そのルールを抜きにして、純粋に自分の好きな作品のベスト10を決めてみようと思います。
「このマンガがすごい!」では、「好き/嫌い」とか「面白い!」よりも、「すごい!」という基準を重視して選ぶので、そのあたりも個人的ベスト10とはまた変わってくると思います。

その前に今年を振り返る意味で、今年「このマンガがすごい!WEB」で自分が何に投票してきたのかをおさらいします。ちなみにWEBでは、投票段階ではオトコ編とオンナ編で分かれていません。どちらにも投票できます。そして、投票結果からオトコ編とオンナ編に振り分けて発表しているようですね。あと本誌では5作品(+1)を選びますが、WEBでは3作品までです。

1月
1位:『百貨店ワルツ』
2位:『ブシメシ!』
3位:『弟の夫』 2巻

2月
1位:『兎が二匹』 1巻
2位:『推しが武道館いってくれたら死ぬ』 1巻
3位:『アンゴルモア』 5巻

3月
1位:『コロコロ創刊伝説』
2位:『葬送のリミット』 1巻
3位:『惑わない星』 1巻

4月
1位:『なぎさにて』 2巻
2位:『白暮のクロニクル』 8巻
3位:『ふんばれ、がんばれ、ギランバレー!』

5月
1位:『亜人』 8巻
2位:『兎が二匹』 2巻
3位:『ヒュプノス』

6月
1位:『戦国自衛隊』 3巻
2位:『不良のはらわた』 1巻
3位:『サイケまたしても』 5巻

7月
1位:『双亡亭壊すべし』 1巻
2位:『ランド』 3巻
3位:『働かないふたり』 8巻

8月
1位:『星間ブリッジ』 1巻
2位:『中川いさみのマンガ家再入門』
3位:『チェイサー』 4巻

9月
1位:『昭和元禄落語心中』 10巻
2位:『悟りパパ』 1巻
3位:『放課後カタストロフィ』 3巻

10月
1位:『弟の夫』 3巻
2位:『亜人』 9巻
3位:『ファイアパンチ』 2巻

11月
1位:『空挺ドラゴンズ』 1巻
2位:『レイリ』 1、2巻
3位:『傘寿まり子』 1巻

12月
※1月下旬にWEB上で発表(現在締め切り前)


11カ月(合計33作品)中、第1巻もしくは読切単巻は17作品で約52%。
なお、2回以上選んだ作品は『弟の夫』『亜人』『兎が二匹』。
といったわけでランキングは……、長くなったので次の記事に。

2016年12月30日金曜日

コミックランキング(2017年01月02日付)

【週間ランキング】

「オリコンスタイル」週間コミックランキングより
 ※2017年01月02日付(2016年12月19日~2016年12月25日
1位:東京喰種トーキョーグール:re 9
 推定売上部数:504,446部
2位:七つの大罪 24
 推定売上部数:214,437部
3位:ジョジョリオン 14
 推定売上部数:212,231部
4位:ヲタクに恋は難しい 3
 推定売上部数:209,102部
5位:進撃の巨人 21
 推定売上部数:162,475部
6位:名探偵コナン 91
 推定売上部数:157,217部
7位:FAIRY TAIL 59
 推定売上部数:110,959部
8位:暁のヨナ 22
 推定売上部数:107,867部
9位:椿町ロンリープラネット 6
 推定売上部数:97,702部
10位:あひるの空 46
 推定売上部数:82,942部
11位:乙嫁語り 9
 推定売上部数:71,341部
12位:ばらかもん 14
 推定売上部数:62,053部
13位:虹色デイズ 14
 推定売上部数:61,013部
14位:ワンパンマン 12
 推定売上部数:59,959部
15位:コウノドリ 16
 推定売上部数:56,685部
16位:ハイキュー!! 24
 推定売上部数:55,133部
17位:MIX 10
 推定売上部数:54,991部
18位:PとJK 8
 推定売上部数:54,557部
19位:ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 10
 推定売上部数:54,212部
20位:LIFE SO HAPPY 1
 推定売上部数:53,725部
※コミックナタリーのランキング(TSUTAYA調べ&COMIC ZIN調べ)はこちら

【ランキング総評】

今年最後のランキング。12月19日発売の『東京喰種トーキョーグール:re』が7日間で50万部超のセールスを記録。『トーキョーグール』は人気作だと知っていても、これだけの数字を出しているとは。改めて驚く。
昨年の『このマンガがすごい!2016』オンナ編1位の『ヲタクに恋は難しい』は12月23日発売の実質3日間で20万部突破。メディア化していないものの、順調に人気を維持し続けている。

【Pick up Review】

20位:LIFE SO HAPPY 1
こうち楓の連載デビュー作にして出世作『LOVE SO LIFE』が昨年完結(全17巻)。本作はその続編で、前作終了から2年後が作品世界となる。根強いファンがいることがわかる順位だ。
ちなみに30位にはコミカライズ版『君の名は。』2巻(39,212部)が入っていたのも特記事項。

LIFE SO HAPPY 1 (花とゆめCOMICS)
こうち楓
白泉社 (2016-12-20)
売り上げランキング: 974

2016年12月25日日曜日

コミケC91の告知

コミックマーケット91に参加します。
12月31日、土曜日(三日目)
東V-32a
サークル名「ヴァイタルエリア」です。

新刊は無理でしたが、既刊とフリーペーパーを持っていきます。
評論ブースはのんびりしたものなので、ゆっくりと話でもしに来てください。

2016年12月22日木曜日

落語会「立川流が好きっ‼︎」に行ってきました

清澄白河の江戸資料館小劇場で開催された落語会「立川流が好きっ‼︎」に行く。

落語立川流の創始者で家元(立川談志)の孫弟子たちによって立ち上げられた会。
もともとは8月に新宿ロフトプラスワンで開催されたトークイベント「立川流が好きっ!!」が発端となった。
立川流の現状に危機感を抱いた立川吉笑さんが、同じ立場の孫弟子たちに呼びかけて、家元亡き後の立川流の現状についての意見交換を公開の場で行い、このメンバーで落語会をやろうと話し、実際に形にしたのがこの会だ。

2012年に立川志ら乃さんが著書『談志亡き後の真打ち』(宝島社)を出版した際に、志ら乃さんが新宿レフカダで出版記念のイベントを開催し、そこにサンキュータツオさんと吉笑さんがゲストで登壇した。このとき志ら乃さんは立川流に対する懸念をかなり強く抱いていた。
しかし、当時の吉笑さんは「兄さん(志ら乃)とはキャリアも立場も違うので、家元や立川流に対する思い入れも違う」「その危機感がよくわからない」と言っていたと記憶している。
なるほど孫弟子といっても一枚岩ではないし、こだわりや思い入れは人それぞれ違うものだなぁ、と感じた次第だが、今年8月のトークイベントでは、吉笑さんがその危機感を誰よりも強くアピールしていた。この4年のあいだ、落語に取り組み、世間と格闘してきた吉笑さんの現在地としての危機感や熱量に対し、ほかの演者が異なる角度から注釈をつけるようなトークイベントであった。

これがトークイベントのままで終わってしまったら、言いっぱなしの愚痴になってしまう。きちんと会として成立させ、230席のチケットをきちんと売り切って、満員札止めにしたのだから、素晴らしい。何か新しいことをやろうとすると、風当たりも強いだろうとは容易に想像できる。
それでも、きちんと会を立ち上げ、成立させたことこそ、落語協会を飛び出して落語立川流を創始した家元のイズムを体現する行為だったと思う。
客が味方につけば、正解なんだ。

また、6人とも落語が良かったのも素晴らしい。
1人あたりの持ち時間が20分程度だったせいか、あまりマクラを振らずに噺に入っていったので、「会の趣旨をくどくどと説明する」ことなく「芸で感じてもらう」意図が明確になった。
演者と客が入れ込みすぎず、それでいて熱量がある。
それは伝統芸能特有の緊密でウェットな関係性とは一味違う、かといって客と演者の間に張り詰めた緊張関係があるわけでもない。
乾いているけれど温度が高い。そんな熱だ。
正誤性や優劣の問題ではなく、これがこの会特有の熱の在り方であった。


立川こはる「真田小僧」
親父の不承不承な物言いに師匠(談春)の姿が重なる。
こまっしゃくれた小僧の、それでいて愛嬌のある憎めなさがなんともいえない。
いろいろな会で見かけるこはるさんのファンは、年配で上品な女性が多い。その方々が、本当に慈しむように笑い、楽しんでいる姿が印象的だった。

立川志の太郎「人間っていいな」
志の輔一門は立川流における出島のような存在だと感じている。
本土とは切り離されているけど、しかし世界の窓口になっている。
立川流に対する危機感が、外から見たときに「内輪もめ」に見えないようにするには、この人のスタンスや目線が意外と効いてくるのでは?
。外見的にはとてもスマートだけれど、その矜持を十分に見せたと思う。家元との思い出話も、やはり立川流のファンにはうれしく、場内を爆笑させていた。

立川談吉「天災」
以前、志らく師匠にお話を聞かせていただいた際に「落語はリズムとメロディ」とおっしゃっていたことを思い出す。リズムとメロディで気持ちよく聞かせる。リズムとメロディで持っていける噺ならもうお手の物で、今年やった「蝦蟇の油」もかなり合っていた。本人はその先を見据えているとは思うけど、そのあたりは演目次第なのかも。
「古いギャグを言う」こと自体がギャグになる(できる)という、それもまた立川流の孫弟子世代ならでは。

立川吉笑「一人相撲」
なんといってもこの会の最大の功労者。
以前は、テンションをあげてまくし立てたときのトーンが、聞き続けるのにスタミナを要していたけれど(※個人の感想です)、今年の春先くらいから急速に落語的な語りになって、ものすごく噺に集中できるようになった。ああ、この新作はこういう噺だったのか、といまさらながら気づくことの多い1年だった。著作とかメディア露出とか、この会の立ち上げとか、表立った部分で本当に忙しいなかでも、きちんと自分の芸を研ぎ澄ませているのだから、「追いかけ甲斐」のある落語家だと思う。

立川寸志「庭蟹」
逃げ噺といって、寄席なんかでは時間調整に用いる噺。
会の成立経緯から言っても、「俺が俺が」になってもおかしくない状況で、きちんと膝代わりの仕事をこなすのは素晴らしい。頭を休ませつつ、かつ場を冷えきらさず、時間を調整して、しっかりとトリにつなげていた。「会を成立させる」熱意、ここにも感じた次第。

立川志ら乃「粗忽長屋」
志ら乃さんの「粗忽長屋」は、シブラクや不動院やレフカダで今年は何度か見たけど、間違いなくこの日がナンバーワン。
落語の感想ってじつは難しくて、聞く側のコンディションも大きく左右するので、いったん自分の感想を棚投げして客観的に反芻することも大事だけど、見た直後の高揚感を抱いたまま「良かった」と言い残したい出来であった。
会場を出て駅までの道すがら、ほとんどの方が志ら乃さんの話題でもちきりだったから、自分の実感もそんなに外れてはいないと思う。

「立川流に対する危機意識」というのは、会の呼び水にはなるし、惹句としても優秀だ。
ただ、いったん会場に訪れたら、そのあたりのことは客としては実はどうでもよくて、会自体が楽しいかどうかが最大の関心事となる。
言い方は悪いが、「会1回だけで『立川流への危機感』への満額回答」が得られるとは思っていない。この日、足を運んだ客は、これから先何年かかるかわからないけど、「それに付き合ってやるぜ」って人が多かったのではないだろうか。
当初の危機意識の最終的な帰着点は、会を重ねるごとに少しずつ明瞭になっていくと思うので、なによりも続けていくことが大事なんだろうなぁ、と感じた。

通常、演芸はスポーツ観戦と異なり、勝ち負けによる客の勘定の浮き沈みは存在しない。ところがこの会の終演後は、「ひいきチームが勝った後のスポーツ会場」のようなムードがあったのは事実で、これはやはり特殊な会である。




コミックランキング(2016年12月26日付)

【週間ランキング】

「オリコンスタイル」週間コミックランキングより
 ※2016年12月26日付(2016年12月12日~2016年12月18日
1位:進撃の巨人 21
 推定売上部数:365,298部
2位:名探偵コナン 91
 推定売上部数:259,626部
3位:七つの大罪 24
 推定売上部数:206,236部
4位:ばらかもん 14
 推定売上部数:182,577部
5位:MIX 10
 推定売上部数:165,158部
6位:乙嫁語り 9
 推定売上部数:151,350部
7位:PとJK 8
 推定売上部数:118,763部
8位:FAIRY TAIL 59
 推定売上部数:100,497部
9位:春待つ僕ら 6
 推定売上部数:95,329部
10位:ワンパンマン 12
 推定売上部数:92,017部
11位:ハイキュー!! 24
 推定売上部数:89,617部
12位:あひるの空 46
 推定売上部数:77,491部
13位:L・DK 22
 推定売上部数:73,176部
14位:はじめの一歩 116
 推定売上部数:56,163部
15位:夢の雫、黄金の鳥籠 9
 推定売上部数:54,593部
16位:私の少年 2
 推定売上部数:47,252部
17位:虚構推理 5
 推定売上部数:46,610部
18位:生徒会役員共 14
 推定売上部数:44,970部
19位:BORUTO-ボルト- -NARUTO NEXT GENERATIONS- 2
 推定売上部数:37,682部
20位:神さまの言うとおり 弐 20
 推定売上部数:37,227部
※コミックナタリーのランキング(TSUTAYA調べ&COMIC ZIN調べ)はこちら

【ランキング総評】

12月9日発売の『進撃の巨人』は、今週の集計期間(18日)までの10日間で、限定版込みで100万部突破。
『名探偵コナン』は約26万部で2位にランクインしているが、発売日は12月16日なので、わずか3日でのこの成績。91巻まで続いていながら勢いが衰えていないのは恐るべきこと。
今年、アニメと映画は20周年を迎え、最新作『純黒の悪夢(ナイトメア)』の興行収入はシリーズ歴代最多の60億円突破。
これはさすがに終わらせられないよなぁ、と思う。

【Pick up Review】

9位:春待つ僕ら 6
やっぱりどうしても、少女漫画は自分の観測範囲からは外れてしまう。
それでも『このマンガがすごい!』で上位に入るような作品ならチェックもするけど、『春待つ僕ら』は『このマンガがすごい!』本誌の「2016」でも「2017」でもオンナ編の50位以内に入っていない。
それでも前巻までの段階で累計120万部とのことで、6巻も今週の9位にランクイン。
正直まったくノーマークだったので、試し読みでもしてみようかと。

春待つ僕ら(6) (KC デザート)
あなしん
講談社 (2016-12-13)
売り上げランキング: 465

2016年12月16日金曜日

コミックランキング(2016年12月19日付)

【週間ランキング】

「オリコンスタイル」週間コミックランキングより
 ※2016年12月19日付(2016年12月05日~2016年12月11日
1位:進撃の巨人 21
 推定売上部数:632,419部
2位:ハイキュー!! 24
 推定売上部数:268,281部
3位:ワンパンマン 12
 推定売上部数:248,972部
4位:図書館戦争 LOVE&WAR 別冊編 3
 推定売上部数:125,061部
5位:カードキャプターさくら クリアカード編 1
 推定売上部数:113,397部
6位:BORUTO-ボルト- -NARUTO NEXT GENERATIONS- 2
 推定売上部数:112,352部
7位:ワールドトリガー 17
 推定売上部数:109,732部
8位:進撃の巨人 21 限定版
 推定売上部数:89,277部
9位:ぐらんぶる 7
 推定売上部数:85,739部
10位:To LOVEる-とらぶる- ダークネス 17
 推定売上部数:82,218部
11位:トリコ 42
 推定売上部数:76,080部
12位:中間管理録トネガワ 4
 推定売上部数:74,286部
13位:ブラッククローバー 9
 推定売上部数:53,337部
14位:刃牙道 14
 推定売上部数:50,655部
15位:転生したらスライムだった件 3
 推定売上部数:48,211部
16位:夢の雫、黄金の鳥籠 9
 推定売上部数:47,846部
17位:キン肉マン 57
 推定売上部数:46,347部
18位:ゆらぎ荘の幽奈さん 4
 推定売上部数:41,896部
19位:双星の陰陽師 10
 推定売上部数:41,621部
20位:ドラゴンボール超 2
 推定売上部数:39,327部
※コミックナタリーのランキング(TSUTAYA調べ&COMIC ZIN調べ)はこちら

【ランキング総評】

『ハイキュー!!』『ワンパンマン』『ワールドトリガー』のジャンプ勢は、前週(3日間)とほぼ同数の売り上げを記録。マンガは初動が大事と言われるが、「最初3日間」と「次の7日間」でほぼ同数というのは興味深い。初動といっても、3日間、10日間、14日間ごとの短観で推移を見るのがよさそう。
『進撃の巨人』は12月9日発売。小説版のサイドストーリーを収録した限定版(8位)とあわせると、3日間の推定売上部数は合計72万部を超えた。おそらく最終的には単刊100万部はいきそう。21巻まで続いてその数字なのだから、もはや国民的な作品と言っていい。

【Pick up Review】

12位:中間管理録トネガワ 4
『このマンガがすごい!2017』オトコ編第1位。4巻発売日は12月6日、「このマンガ」は12月10日発売。
次週に「このマンガ」の効果がどれだけ出るのか注目。
ギャグマンガとしても、原作に対するスピンオフの成熟度合としても秀逸。
今年は『ローグワン』もあるし、あとで振り返ったときに「スピンオフの年」となるのだろうか?

中間管理録トネガワ(4) (ヤンマガKCスペシャル)
福本 伸行 三好 智樹 橋本 智広
講談社 (2016-12-06)
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2016年12月13日火曜日

最近のお仕事:こうの先生×のんさんの対談

映画『この世界の片隅に』の原作者こうの史代先生と、主演ののん(本名:能年玲奈)さんの対談を担当しました。
12月6日発売の「漫画アクション」(双葉社)に掲載されています。
全部で3ページの内容ですが、5段組でQ数もぐっと抑えて、できるだけ情報量を多めにしてもらいました。編集さんとデザイナーさんが、がんばってくれました。

こうの先生は『この世界の片隅に 公式アートブック』でもインタビューをさせていただいたので、それを踏まえたうえで、いろいろと細かい部分までお話しくださいました。

のんさんは、ひとつの質問に対し、ものすごく深く考えてからお答えする方でした。割とマンガ家さんに多いタイプですね。原作をかなり読み込んでいらして、こうの先生も嬉しそうでした。

のんさんのLINE BLOGに当日の写真がアップされています。
背景の絵は、こうの先生の『夕凪の街 桜の国』のイラストです。
というか、その下に額装されている写真は、こうの先生が第9回手塚治虫文化賞(主催は朝日新聞社)で新生賞を受賞されたときのもの。一緒に映っているのが、西原理恵子先生と浦沢直樹先生という、トンでもなく豪華な顔ぶれです。


2016年12月12日月曜日

最近のお仕事:宇多丸さんとLiLiCoさんの対談

「デイリー新潮」でのライムスター宇多丸さんとLiLiCoさんの対談で記事を担当しました。
こちらは、『ライムスター宇多丸の映画カウンセリング』(新潮社)の刊行を記念して行われた座談会です。

〈宇多丸×LiLiCo 第1回〉
映画コメンテーターLiLiCoに映画紹介の悩みをぶつける
〈宇多丸×LiLiCo 第2回〉
宇多丸「皆が面白いと思っている映画が、アナタの人生を変える一本になる可能性は低い」
〈宇多丸×LiLiCo 第3回〉
宇多丸とLiLiCoが「自分を奮い立たせる『生涯ベスト映画』」を紹介
〈宇多丸×LiLiCo 第4回〉
辛口映画評の雄・宇多丸は語る「王様のブランチは貴重」

これは「コミック@バンチ」2017年1月号に掲載された対談とは別内容です。
あわせてお読みいただけると、より楽しめると思います。

ライムスター宇多丸の映画カウンセリング
宇多丸
新潮社
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2016年12月10日土曜日

『このマンガがすごい!2017』の結果に思うこと

今年も『このマンガがすごい!』本誌が発売されました。
オトコ編1位は『中間管理録トネガワ』、オンナ編1位は『金の国 水の国』です。
例年同様、オトコ編1位の巻頭インタビュー、レビュー(『兎が二匹』)や特集記事を担当し、アンケートでの投票に参加しました。

とにかく今年のオトコ編の印象は、「本命不在」の一語に尽きます。
ちょっとそのあたりの事情について。

『このマンガがすごい!』の投票レギュレーションは、「前年10月1日から今年9月30日までの期間に単行本が発売された作品」であること。これは毎年同じです。
「すごい!」と思ったのであれば、『ONE PIECE』や『こち亀』に投票しても構わないのですが、『このマンガがすごい!』は毎年刊行される年度版である点が投票者の心理に影響を及ぼします。
その結果として、
・期間内に1巻が出た新作
・期間内に完結した作品
のいずれかがランキング上位に浮上しやすい傾向にあります。
過去の例でいえば、前者は『進撃の巨人』(11年1位)や『ダンジョン飯』(16年1位)、後者は『ちーちゃんはちょっと足りない』(15年オンナ編1位)や『黒博物館 ゴースト アンド レディ』(16年3位)が挙げられます。

前者は青田買い的な意味もありますが、とかくマンガ業界は「(単行本が)売れないと続きが出せない(≒打ち切られてしまう)」ので、どうにか多くの人に注目してもらって「作者と読者が納得する形で最後まで完走してもらいたい」という願いが込められた投票行動だと考えられます。今年のランキングでは、1位、2位、3位、5位の作品がこれに該当します。
一方の後者は、投票できる最後のタイミングであり、「この名作が世にあまり知られることなく埋もれてしまうのは惜しい」という、使命感のようなものが込められているのでしょう。今年のランキングでは4位の作品がこれに該当します。なお、現在、映画が公開中の『この世界の片隅に』も、最終3巻が2010年のオトコ編で11位に入っていました。
投票方式と年度版というレギュレーションによって、アンケート回答者には上記のような内的動機が介在するのが、『このマンガがすごい!』本誌の傾向です。
すでに評価の定まった作品は敬遠されがちなのです。
いうなれば「応援馬券」ですね。

そして今年に関しては、マンガ好きのあいだで支持されたのは、前年と同様に『ダンジョン飯』と『ゴールデンカムイ』だったような印象を受けていました。どちらも「このマンガがすごい!WEB」の月間ランキングで1位を取ったことが、その証左といえるでしょう。
しかし、『ダンジョン飯』は前年に1位、『ゴールデンカムイ』はマンガ大賞を受賞しており、「すでに評価の定まった作品」と判断されたとしてもおかしくありません。
ゆえに今年のオトコ編は「本命不在」であったと考えられます。
この状況だと、何が1位になっても不思議ではない半面、何が1位になっても不満に思う人はいるかもしれません。

事実、今年のオトコ編の各作品の獲得ポイント数を見れば、上位はほとんど差がないことがわかるはずです。
では、そのわずかな差を分けた要因とはなんでしょう。

『このマンガがすごい!』の投票アンケートは1~5位までを任意に選ぶもの。1位は10ポイント、2位は9ポイント、3位は8ポイント、4位は7ポイント、5位は6ポイントとし、それとは別にもう一方のカテゴリ(オトコ編とオンナ編)から1作品選べます(5ポイント)
その集計の結果がランキングとして反映されるわけですが、アンケート回答者が何に投じたのかは、すべて誌面に掲載されています。
これを見ていくと、じつは『トネガワ』を1位に推している回答者は、あまり多くはいません
そしてここ数年は、書店からの票がランキングに大きな影響を及ぼしていましたが、こちらでも1位は獲得できず(1位は『私の少年』56ポイント、『トネガワ』は3位で32ポイント)。

つまり「個人的な1位は別にあるけど、面白かったから3~5位に入れた」との投票行動の集積結果が、「本命不在」の状況とあいまって、『トネガワ』1位に結びついたと考えられます。こういうことがあるのも、アンケート集計によるランキングならでは、でしょうね。
そこから予想できる読者の反応としては、「面白いは面白いけど、まさか1位になるとは……」といった驚き(や反発)ではないでしょうか。

そもそも『このマンガがすごい!』は、権威のある賞ではなく、ただの集計結果にすぎないと思っています。よく勘違いされますが、『このマンガがすごい!』の1位は「大賞」ではありません。あくまで「集計結果の1位」なんですね。1位以外の作品についても、みんなでワイワイと話すことができればいいんじゃないかな、と個人的には思っています。
まあ、『トネガワ』は、「このマンガ大賞」は選ばないように思うので……。
あちらは8巻まで刊行されている作品が対象となるので、「このマンガがすごい!」ほど青田買いの傾向は強くない印象を受けます。
年末は「このマンガがすごい!」、年度末は「マンガ大賞」と、お互いに住み分けて、どちらも盛り上がればいいなと思っています。
『トネガワ』はインパクトがあるからバズられがちですが、オンナ編1位の『金の国 水の国』も良作なので、オススメですよ。

このマンガがすごい! 2017
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2016年12月9日金曜日

コミックランキング(2016年12月12日付)

【週間ランキング】

「オリコンスタイル」週間コミックランキングより
 ※2016年12月12日付(2016年11月28日~2016年12月04日
1位:ハイキュー!! 24
 推定売上部数:282,363部
2位:ワンパンマン 12
 推定売上部数:245,163部
3位:カードキャプターさくら クリアカード編 1
 推定売上部数:147,750部
4位:ワールドトリガー 17
 推定売上部数:133,843部
5位:BORUTO-ボルト- -NARUTO NEXT GENERATIONS- 2
 推定売上部数:116,905部
6位:転生したらスライムだった件 3
 推定売上部数:113,294部
7位:ホリミヤ 10
 推定売上部数:109,332部
8位:抱かれたい男1位に脅されています。 3
 推定売上部数:93,043部
9位:To LOVEる-とらぶる- ダークネス 17
 推定売上部数:87,314部
10位:とある魔術の禁書目録外伝 とある科学の超電磁砲 12
 推定売上部数:82,988部
11位:トリコ 42
 推定売上部数:81,552部
12位:蒼き鋼のアルペジオ 13
 推定売上部数:76,408部
13位:はたらく細胞 4
 推定売上部数:72,313部
14位:キン肉マン 57
 推定売上部数:60,120部
15位:ブラッククローバー 9
 推定売上部数:59,814部
16位:ゆらぎ荘の幽奈さん 4
 推定売上部数:57,655部
17位:鬼灯の冷徹 23
 推定売上部数:57,510部
18位:ドラゴンボール超 2
 推定売上部数:56,947部
19位:マギ 31
 推定売上部数:54,180部
20位:ONE PIECE 83
 推定売上部数:53,453部
※コミックナタリーのランキング(TSUTAYA調べ&COMIC ZIN調べ)はこちら


【ランキング総評】

『ハイキュー!!』などジャンプコミックス勢は12月2日発売なので、正味3日間での売上部数。翌週とあわせての合計10日間だと、これまでの経過から、今週×2くらいにはいくと予測。『キン肉マン』は3日間で6万越えなので、これだけ巻数を重ねても「初週10万」は維持してそう。
『転生したらスライムだった件』は11月30日発売なので、都合5日間での成績だが、10万部を軽く超えてきたのは驚き。いわゆる“なろう系”の転生物が今年のトレンドだが、その代表格といえる本作はさすがの勢い。

【Pick up Review】

25位:ギャラリーフェイク 33
連載終了後に「ビッグコミックスピリッツ」や「月刊!スピリッツ」などに掲載された読切を収録し、11年ぶりに刊行された新刊。相変わらずの安定のクオリティ。これからも不定期に続けてほしい。
推定売上部数は36,997部(11月30日発売)。

ギャラリーフェイク 33 (ビッグコミックス)
細野不二彦
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2016年12月1日木曜日

コミックランキング(2016年12月05日付)

【週間ランキング】

「オリコンスタイル」週間コミックランキングより
 ※2016年11月28日付(2016年11月21日~2016年11月27日

1位:テラフォーマーズ 19
 推定売上部数:149,758部
2位:マギ 31
 推定売上部数:145,343部
3位:鬼灯の冷徹 23
 推定売上部数:138,540部
4位:ONE PIECE 83
 推定売上部数:94,102部
5位:MAJOR 2nd 7
 推定売上部数:92,018部
6位:FAIRY TAIL 58
 推定売上部数:82,038部
7位:ゴールデンカムイ 9
 推定売上部数:78,205部
8位:げんしけん 二代目の十二 21
 推定売上部数:77,450部
9位:マギ シンドバッドの冒険 11
 推定売上部数:68,933部
10位:干物妹! うまるちゃん 9
 推定売上部数:57,441部
11位:ホリミヤ 10
 推定売上部数:53,694部
12位:とある魔術の禁書目録外伝 とある科学の超電磁砲 12
 推定売上部数:41,977部
13位:金田一少年の事件簿R 11
 推定売上部数:41,652部
14位:ダメな私に恋してください 10
 推定売上部数:41,272部
15位:アルスラーン戦記 6
 推定売上部数:40,877部
16位:とある魔術の禁書目録(インデックス) 18
 推定売上部数:40,726部
17位:波よ聞いてくれ 3
 推定売上部数:39,923部
18位:マージナル・オペレーション 7
 推定売上部数:38,919部
19位:ベイビーステップ 42
 推定売上部数:38,803部
20位:Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ!! 8
 推定売上部数:35,442部

※コミックナタリーのランキング(TSUTAYA調べ&COMIC ZIN調べ)はこちら


【ランキング総評】

『テラフォーマーズ』や『マギ』などの11月18日発売勢が今週も順調に数字を伸ばしている。
3位と健闘した『鬼灯の冷徹』は22日発売。『げんしけん 二代目』は最終巻。
80~83巻の4冊で年間1千万部を超えている

【Pick up Review】

17位:波よ聞いてくれ 3
地方FM局を舞台に、ラジオパーソナリティを題材にした作品。
「このマンガがすごい!WEB[2015年7月で1位、2016年4月で2位(ともにオトコ編)。
本誌では昨年1巻刊行のみで6位。
COMIC ZIN調べのランキングでは今週4位と、玄人受けが先行している様子
大衆性はあると思うので、もう少し売り上げが伸びてもよさそう。

波よ聞いてくれ(3) (アフタヌーンコミックス)
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2016年11月29日火曜日

最近のお仕事:「コミック@バンチ」1月号 対談のお手伝い

新潮社「月刊コミック@バンチ」にて連載中のコラム「ライムスター宇多丸の映画カウンセリング」が書籍化されることになりました。
書籍の発売日は11月30日です。

ライムスター宇多丸の映画カウンセリング
宇多丸
新潮社
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この書籍の刊行を記念して、現在発売中の「コミック@バンチ」2017年1月号では、宇多丸さんが映画コメンテーターのLiLiCoさんと対談を行いました。
こちらの対談のお手伝いをしました。
ぜひ本誌をご覧ください。

コミック@バンチ 2017年1月号

新潮社 (2016-11-21)



2016年11月27日日曜日

カストロとマンガ

キューバ共和国の前国家評議会議長フィデル・カストロが死去した。享年は90歳。1959年に親米のバティスタ政権を打倒してキューバ革命を成し遂げ、社会主義国を建設し、カリスマ的な指導者として君臨した。

さてキューバは社会主義国なので、言論の自由が保障されていない。
それゆえ、キューバの新聞で政治や政権の風刺漫画を描いていた作家は、アメリカへと亡命を余儀なくされた。そしてアメリカ亡命後、ECコミック(現在のDCコミック)の雑誌「MAD」でヒット作を飛ばした作家がプロフィアス(Antonio Prohías)である。
彼の代表作『Spy vs. Spy』は、白いスパイと黒いスパイが、お互いに罠を仕掛けあうスラップスティック・コメディだ。
Spy Vs. Spy: The Complete Casebook
Antonio Prohias
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この作品は翻訳されていないが、サイレント(セリフがない)ので、原書でも楽しむことができる。
アメリカでは根強い人気を誇り、2004年にはマウンテン・デューのCMにも起用されたようだ。

日本ではあまりなじみのない作品だが、しかし40代以上のゲーム好きにとっては、“あの”『Spy vs. Spy』(スパイ・アンド・スパイ)の原作、といえば通じるハズ。

スパイVSスパイ
スパイVSスパイ
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コトブキシステム (1986-04-26)
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ゲームは白いスパイ(ヘッケル)と黒いスパイ(ジャッケル)が機密書類を奪い合う内容。画面は上下で二分割されており、部屋の各所に隠された罠を見つけ、それを仕掛け、相手より先に機密書類を手にして部屋から脱出すれば勝利となる。
罠を仕掛けたり、相手とバトルをしたり……と、対コンピュータの1Pモードよりも、対人対戦がアツイ。ハッキリ言えば、性格の悪い方が勝つ。
現在はiPhone版のアプリもリリースされている。

カストロ政権にも功と罪はあるが、その陰にプロフィアスと『Spy vs. Spy』があることも記憶にとどめておきたい。

Spy vs Spy - Robots and Pencils Inc.

2016年11月24日木曜日

コミックランキング(2016年11月28日付)

【週間ランキング】

「オリコンスタイル」週間コミックランキングより
 ※2016年11月28日付(2016年11月14日~2016年11月20日

1位:ONE PIECE 83
 推定売上部数:168,561部
2位:テラフォーマーズ 19
 推定売上部数:154,045部
3位:マギ 31
 推定売上部数:152,460部
4位:FAIRY TAIL 58
 推定売上部数:134,584部
5位:アルスラーン戦記 6
 推定売上部数:91,677部
6位:MAJOR 2nd 7
 推定売上部数:85,395部
7位:ゴールデンカムイ 9
 推定売上部数:84,288部
8位:ベイビーステップ 42
 推定売上部数:74,499部
9位:マギ シンドバッドの冒険 11
 推定売上部数:73,256部
10位:金田一少年の事件簿R 11
 推定売上部数:69,317部
11位:干物妹! うまるちゃん 9
 推定売上部数:67,366部
12位:僕のヒーローアカデミア 11
 推定売上部数:47,915部
13位:黒崎くんの言いなりになんてならない 8
 推定売上部数:47,563部
14位:食戟のソーマ 21
 推定売上部数:43,997部
15位:エリアの騎士 54
 推定売上部数:43,316部
16位:UQ HOLDER! 12
 推定売上部数:42,008部
17位:秋田妹! えびなちゃん 1
 推定売上部数:39,833部
18位:ドメスティックな彼女 11
 推定売上部数:37,931部
19位:モンスター娘のいる日常 11
 推定売上部数:35,858部
20位:七つ屋志のぶの宝石匣 3
 推定売上部数:35,670部

※コミックナタリーのランキング(TSUTAYA調べ&COMIC ZIN調べ)はこちら



【ランキング総評】

『ONE PIECE』が3週連続で首位。『テラフォーマーズ』『マギ』『MAJOR 2nd』あたりは発売日が11月18日なので、正味3日間での売り上げ。『FAIRY TAIL』は17日と、このあたりの順位付けは来週の結果を見てから判断したいところ。
それにしても、『MAJOR 2nd』『ベイビーステップ』『エリアの騎士』と、スポーツ漫画はロングテールになりやすいのがよくわかる。どの編集部も、スポーツものを欲しがるのも理解できる。

【Pick up Review】

17位:秋田妹! えびなちゃん 1
秋田の女子中学生が、高校入学を期に上京。ひとり暮らしで自炊するゆるふわ系コメディ。11位の『干物妹! うまるちゃん』のスピンオフ作品で、本編ともども20位以内にランクインした。COMIC ZIN調べのランキングではワンツーフィニッシュをしており、オタ系コンテンツとしてのポテンシャルの高さが感じられる。

秋田妹! えびなちゃん 1 (ヤングジャンプコミックス)
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2016年11月17日木曜日

コミックランキング(2016年11月21日付)

【週間ランキング】

「オリコンスタイル」週間コミックランキングより
 ※2016年11月21日付(2016年11月07日~2016年11月13日

1位:ONE PIECE 83
 推定売上部数:487,301部
2位:アルスラーン戦記 6
 推定売上部数:206,203部
3位:僕のヒーローアカデミア 11
 推定売上部数:156,595部
4位:BLEACH-ブリーチ- 74
 推定売上部数:142,506部
5位:食戟のソーマ 21
 推定売上部数:131,854部
6位:弱虫ペダル 47
 推定売上部数:95,798部
7位:監獄学園 23
 推定売上部数:89,393部
8位:銀魂-ぎんたま- 66
 推定売上部数:75,289部
9位:プラチナエンド 4
 推定売上部数:68,706部
10位:銀河英雄伝説 4
 推定売上部数:52,579部
11位:ふらいんぐうぃっち 5
 推定売上部数:51,659部
12位:ウィッチクラフトワークス 10
 推定売上部数:50,834部
13位:コーヒー&バニラ 4
 推定売上部数:48,729部
14位:黒崎くんの言いなりになんてならない 8
 推定売上部数:45,449部
15位:恋と嘘 5
 推定売上部数:43,691部
16位:突然ですが、明日結婚します 6
 推定売上部数:40,328部
17位:エスケープジャーニー 2
 推定売上部数:38,855部
18位:七つ屋志のぶの宝石匣 3
 推定売上部数:36,753部
19位:思い、思われ、ふり、ふられ 4
 推定売上部数:32,402部
20位:聖☆おにいさん 13
 推定売上部数:32,323部

※コミックナタリーのランキング(TSUTAYA調べ&COMIC ZIN調べ)はこちら


【ランキング総評】

11月4日発売のジャンプコミックスが、今週の集計期間までが「発売10日間」に該当するので、前週に引き続きランキング上位に入っている。『ワンピース』は発売10日間で合計200万部到達なので、やはり規格外。
2位『アルスラーン戦記』、10位『銀河英雄伝説』と、田中芳樹原作が2作品ともトップ10に。いま40代以上のオタクにとって田中芳樹は「基礎教養」ともいえる存在。それが現代の若者にも受容されているのか、あるいはアラフォー以上の世代がいまも支え続けているのか。いずれにせよ、新規のファンがついていなければ、『アルスラーン』の20万部はありえない。荒川弘ファンの流入か。

【Pick up Review】

圏外:空挺ドラゴンズ 1
11月7日発売なので今週の集計期間にガッツリと収まるのだが、トップ30にも入らなかった(30位は『ARIA 完全版 ARIA The MASTERPIECE 4』の23,027部)。
龍を捕まえる捕龍船の乗組員たちの物語。各地を飛び回って竜を捕獲し、解体して肉や骨や油を売って生計を成り立たせている設定がおもしろい。
今月イチオシ!

空挺ドラゴンズ(1) (アフタヌーンコミックス)
講談社 (2016-11-07)
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2016年11月10日木曜日

コミックランキング(2016年11月14日付)

【週間ランキング】

「オリコンスタイル」週間コミックランキングより
 ※2016年11月14日付(2016年10月31日~2016年11月06日)

1位:ONE PIECE 83
 推定売上部数:1,631,659部
2位:BLEACH-ブリーチ- 74
 推定売上部数:248,139部
3位:僕のヒーローアカデミア 11
 推定売上部数:203,825部
4位:食戟のソーマ 21
 推定売上部数:162,169部
5位:銀魂-ぎんたま- 66
 推定売上部数:110,705部
6位:監獄学園 23
 推定売上部数:86,684部
7位:プラチナエンド 4
 推定売上部数:81,174部
8位:思い、思われ、ふり、ふられ 4
 推定売上部数:72,139部
9位:アイアムアヒーロー 21
 推定売上部数:65,013部
10位:聖☆おにいさん 13
 推定売上部数:63,961部
11位:キングダム 44
 推定売上部数:61,715部
12位:きょうは会社休みます。 12
 推定売上部数:58,789部
13位:七つの大罪 23
 推定売上部数:53,523部
14位:空母いぶき 5
 推定売上部数:48,249部
15位:クロネコ彼氏のあふれ方 3
 推定売上部数:45,605部
16位:冒険王ビィト 13
 推定売上部数:42,529部
17位:ダイヤのA actⅡ 5
 推定売上部数:36,093部
18位:きのう何食べた? 12
 推定売上部数:33,051部
19位:この音とまれ! 13
 推定売上部数:30,397部
20位:GIANT KILLING 42
 推定売上部数:27,586部


※コミックナタリーのランキング(TSUTAYA調べ&COMIC ZIN調べ)はこちら


【ランキング総評】

集英社ジャンプコミックスの発売週。11月4日発売なので、集計期間に含まれる日数はわずか3日。それで160万部を超えるのだから、やはり『ONE PIECE』は格が違う
同様に、前週に集計期間が3日だった作品を例にすると、『アイアムアヒーロー』、『自殺島』(16巻:24,929部、17巻:25,736部)の売上部数はほぼ前週と同じ。ということは、来週のランキングも、今週発売のジャンプコミックスが上位にランクインするのか?
また、『監獄学園』も同じく11月4日発売なので、こちらの動向も注目したい。


【Pick up Review】

14位:空母いぶき 5
かわぐちかいじの現在の連載作品。中国の工作員が尖閣諸島の小島に上陸し、やがて自衛隊と中国人民解放軍が武力衝突へと向かっていく。現在の日中関係から想定される「有事」が題材なだけに、注目度は高い。
前週と今週の推定売上部数を合算すると5巻は10万部突破。
講談社「モーニング」連載の『ジパング 深蒼海流』と同時に、これほどタフな作品を連載しているのだから、さすがかわぐちかいじ、といったところ。


空母いぶき 5 (ビッグ コミックス) (ビッグコミックス)
かわぐち かいじ
小学館 (2016-10-28)
売り上げランキング: 58