2012年8月14日火曜日

ウェンブリーとゾンビ

ウェンブリーの登場するゾンビ映画

先ごろ開催されたロンドン五輪にて、
サッカー男子の準決勝および決勝の舞台となったのが
ロンドンのウェンブリー・スタジアムである。

このスタジアムは、映画『28週後…』にも登場する。
ラストのシーンでウェンブリーが舞台となるが、
人の手が行き届かず伸び放題になった芝生が、
妙なリアリティを醸し出していた。

この『28週後…』は、『28日後…』の続編だ。
『28日後…』では、病院で昏睡状態だった主人公が目を覚ますと、
いきなり世界が荒廃していたシーンから始まる。
斬新で絶望的。
いわゆるゾンビ映画(厳密にはウイルスで凶暴化した人間)だが、
この設定はホラー映画ファンにかなり驚きを持って迎えられた。
00年代を代表するゾンビ映画といえるだろう。
現在大ヒット中の米ドラマ『ウォーキングデッド』も
冒頭シーンはこの設定をそのまま流用しているほどだ。

その大ヒット作の続編である『28週後…』は、
予算も大幅に増えたのか、CGやアクションもふんだんに増えた。
たとえばテムズ川を空爆するなど、見所も多い。
そうした見所のひとつが、ラストのウェンブリーである。

ちなみに、『28日後…』の監督ダニー・ボイルは、
『トレインスポッティング』や『スラムドッグミリオネア』などでも有名。
この『28週後…』では制作総指揮という立場にある。
そして、今回のロンドン五輪で開会式の芸術監督を務めた。


サカオタだけが気づく、作品世界の時空の歪み

だが、『28週後…』は、ウェンブリーが登場するシーンが、かなり問題なのだ。
というのも、『28日後…』は、2001年の11月に本国で公開されている。
作品世界も、大体そのあたりだ。
ところが、それから28週後(約7カ月後)なのに、
すでにウェンブリーが新スタジアムになっている。
ウェンブリー新スタジアムの改修工事は、
2003年に着工し、2007年3月に完了したのだ。

およそ興味のない人にすれば「ふーん」で済む話かもしれないが、
いわば『ALWAYS 三丁目の夕日』で野球中継のシーンがあったとして、
それが後楽園球場ではなく東京ドームで試合をやっているようなもの。
細かいようでいて、意外と重要なことである。

なにしろ2002年と2007年では、
われわれを取り巻く住環境、とりわけ情報テクノロジーは大いに異なる。
2002年にはYoutubeもなければ、SNSも存在しない。
ゾンビ情報が拡散していく様の描写なども、
YoutubeやSNSのある世界では変化して当然。
なにしろゾンビ界の巨匠ジョージ・A・ロメロは、
「情報革命」後の世界を題材に『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』を撮ったほど。
それほど世界は変わったのだ。
だからこそ、『28週後…』のウェンブリーは、余計にズサンに見えてしまう。
『28日後…』から28週後では、それに即した情報テクノロジーを描くべきだし、
スタジアムも「ツインタワー」で有名な旧ウェンブリーじゃないと。

もっとも、そんなことを気にするのは、一部のサカオタだけなんだろう。
ウェンブリーでヘリコプターを使った「おもしろ人体破壊シーン」は
それなりに見応えもあるので、ホラーが苦手ではなければぜひご確認を。





 

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