2011年12月11日日曜日

『ダークサイド・ムーン』に見た、3D映画の可能性


ロボ同士のドツキ合い

師走になると、今年読んだ本や、観た映画のなかで
何がナンバーワンだったのかを振り返るのが習慣になっている。
作品の質では『冷たい熱帯魚』か『キックアス』だと思うが、
もっとも印象に残ったものとして
『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』を挙げないわけにはいかない。

内容は、変形ロボ同士がボコボコにドツキ合うだけの、
IQの低~いアクション映画だ。

上記のトレーラー(予告編)を見ると
アポロ11号の月着陸に関する陰謀史観というか、
史実改変モノの臭いを感じることもできるだろう。
史実を元にしたフィクションは、
映画なら『ウォッチメン』ほか多数、ゲームでも『アサシンクリード』など、
現在のアメリカン・エンタテインメントのトレンドとも言える。

しかし、そうした設定はすべて置き去りにして、
結局はただのドツキ合いに終始する。
序盤から伏線を張り巡らせているかのように見えて、
終盤はストーリーを終息させるためのご都合主義が目立つ。

それでも、3Dで見るドツキ合いは、なにしろ楽しい。


子どもの頭の中の妄想を、そのままご開帳したような映画

普段、映画を観ていると、どうしてもストーリーラインばかり追って、
その監督の主義や主張、物語上の仕掛けばかりに目がいってしまう。
しかし、映画本来の魅力のひとつには
「誰も見たことがないものを見せる」という機能もあるはずだ。

変身ロボ同士がバカでかい拳でひたすらドツキ合ったり
ビルがねじ切れて倒壊していくシーンなどは、
基本的には〝子どもの発想〟だ。
おもちゃ箱をひっくり返して、フィギュア同士を戦わせ
ブロックやレゴで作ったセットを破壊する……。
男だったら、子どもの頃に誰もがやった記憶があるだろう。
子どもが脳汁を垂れ流しながら夢中になる遊びが、
3Dの、それもIMAXシアターで見られるのだから、楽しくないはずがない。
あまりに楽しすぎて、上映時間157分の長丁場を、
2回連続(合計314分=5時間超)で見続けてしまった。
こうなると、もはや中毒だ。

とはいえ、「2Dで観ても、まるで面白くないだろうなぁ」
と思ったのも事実だが。


3Dの可能性

現在の日本国内の映画館の3Dは、XpanD方式が主流だ。
XpanDの特徴としては、
  ・安価で導入しやすい
  ・光量が足りなくて色味の再現度が低い
これに対してIMAX 3Dデジタルは、
  ・専用シアターが必要なので、導入コストが高い
  ・総じてスクリーンが大きく、音響と画質が良い

比較対象にならないくらい、IMAXのほうがハイクオリティだが、
いかんせん導入している映画館がまだ少ない
『ダークサイド・ムーン』に関して言えば、
IMAXで観なければ意味がない、とさえ感じられるほどだ。

3Dの課題としては、
被写界深度の深い映像が宿命づけられてしまう点も挙げられる。
被写界深度を浅くして、画面のいずれかにピントを絞った映像だと、
ピントの合っていない箇所とのズレに、気持ち悪さを覚えてしまう。

一方で被写界深度を深く、画面全体にピントが合うような映像だと、
「いまスクリーンの中心(見せたいモノ)が何か」わからなくなる。
舞台や演劇を観る感覚に近くなり、それはそれでナシではないが、
これまで蓄積されてきた「映画的な演出・表現スタイル」がフィットしない。
画面全体に広がるドカーンボカーンこそ、現状では最適な映像なのだ。

しかし思うに、IMAXで観たときの没入感は、ちょっと半端ない。
これに視点を誘導するような演出が違和感なく自在にできるようになったら、
サブリミナル以上に効果的な〝刷り込み〟も可能になるのではないか……
といった懸念も浮かぶ。

いま3D映画は、「シナリオがない」とか「映像しか価値がない」と評されがちだが
むしろジェームズ・キャメロンやマイケル・ベイ程度でよかったんじゃないか、と。
頭を空っぽにして、ポップコーンを頬張りながら
変身ロボ同士のドツキ合いに大ハシャギしているくらいが
「アトラクションの楽しみ方」としては、ちょうどいいのだろう。





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